なんだかんだ言ってもなんとか車検が通り、いよいよタイムトライアル。
シグナルの合図とともに静かに加速して行くWINGLARE II。が、なにかおかしい......思った以上に加速が伸びないのだ。結果は45台中44位。慌ててドライバーに駆け寄って原因を聞いて見ると、どうやら段速の切替えがうまく行かなかったらしい。1速からいきなり3速に入れてしまったので一気にトルクが落ちてしまい、加速ができなかったのだ。(構造上、2速に入れ直すのは容易ではない)
ギアチェンジの操作性の悪さはスペースの問題でしかたがないところある。嘆いていても仕方が無いので、次の作業に移る(以前、散々困らせられたチェーン回りの故障は今回はなさそうだ。ちょっと一安心)
いろいろとドライバーに不都合がないかを聞いて見ると、どうも電流計が正しく動いていないらしい。今回使用している電流計はホール素子を用いたものだ。どうやらインバータのすぐ横に設置していた為に、正常に動かないようだ
いろいろと手を尽くして見たが、どうも芳しくない。残念だがここは電圧計を頼りに乗ってもらうしかない。
しかし、それだけではなく、モータの挙動が少しおかしいとのこと。そう、ブレーキと競合しているのだ。モータには減速時間が設定できる様になっているのだが、制動時に無駄なエネルギーを使わない様にと、長めに設定してあった。たとえば、その設定が30秒だとしよう。ドライバーがアクセルから足を離すと減速を始める。そしてブレーキ。急激に速度が落ちる。再び加速しようとしてブレーキから足を離すと、アクセルに足を掛けていないのに加速してしまうのだ。
つまり、この一連の作業が30秒以下だとしたら、モータはまだ減速中なのだ。たとえ速度がブレーキによって0となっていても、設定されていた時間と回転数を忠実に守り、ブレーキによる負荷がなくなれば、予定の回転数で回し減速を行なうらしい。よかれと思っていたことが、逆にエネルギーをロスしていたことになる。
先程、アクセルについていたスイッチを制度灯に回したと書いたが、このスイッチは、減速を機械ブレーキにすべて任せるといった機能を持っていたのだ。あわてて、予備のスイッチを探しだし,もとに戻した。
また、モータ温度を見てみると、たった数百メータ走っただけなのに熱をもってしまっている。電圧の上げすぎか......(もちろん適用電圧内です)......急きょバッテリーを一つ、回路から外すことにした。このままではモーターが焼ける可能性も考えられたからだ 。一応マーシャルに確認を取る。しかし車検を受けた状態から変えるのは駄目だという。車体から下ろさなくてもいいから(この場合重りとなる)回路から外させてほしいと何度も頼んだが答えは同じ。しかたがないので、モーターが焼けるのを覚悟で本選にでることとなった。
そして静かにレースはスタートしたのだった。
4周ほどしたときだっただろうか、WINGLARE IIがピットロードに!チェーンか?モータか?
答えはモータだった。表面温度が70度を越えている。おそらく内部は100度を越えているだろう。このままリタイアするか?......
「モータ、焼いて来なさい」(自虐的な微笑みとともに……)
それが私たちが下した判断だった。750[W]、つまり一馬力のモータではこの先限界は見えている。モータを買い替えるいい機会かもしれない。
そして、再びWINGLARE IIはコース上に。彼(WINGLARE II)にとって、このレースが最後のレースとなった。
洒落になってねぇ!!
それからは、水に浸しては冷やし、浸しては冷やしの繰り返し。40度以下に冷えるまで、30分ぐらいかかったんじゃないだろうか?
とりあえずレース結果は
以上、ちょっと脚色入っています(^^;